グルメ・料理・レシピ関連本紹介します。
斎藤 美奈子

戦下のレシピ―太平洋戦争下の食を知る

戦下のレシピ―太平洋戦争下の食を知る 人気ランキング : 35364位
定価 : ¥ 798
販売元 : 岩波書店
発売日 : 2002-08
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 798
図版も豊富で良いです

当時の婦人誌の図版もイロイロ引用されてて、
見た目にも興味深いです。
(婦人誌が軍事色に染まっていくのもうかがえて…)
ものが無いなりに、料理に凝ろうとしてるのも楽しいというか、
主婦・母親ならそれくらいすべきだというイデオロギーの押し付けを
感じたりしてなかなか・・・。
雑誌からの分析なので、
「では実際はなにがどのように食べられていたか」
という部分は推量しかないのだけど、
国策などの甘さはかなりはっきり浮き彫りにされている。
米はなぜ足りなかったかとか、
戦時下に生活してた人でも実際には判ってなかった部分もあるかと。
戦争ものは暗くて読みにくい、
なんて思っている人に読んでほしいです。
笑って読めます。

レシピっていうより歴史の本

戦争中何を食べていたのかを、当時の婦人雑誌などから再現してみようという本。
時代の流れはきっちり押さえてあるものの、肝心のレシピが脚注でしか示されていない上、料理本のくせに写真が殆どない。
なんとも寸足らずで物足りない印象を受ける。
たとえばここで紹介されている中でも一番酷いと思われる「興亜パン」という料理。
これは「ぶたの餌」レベルという評価を受けており、パンなのに魚粉が入ってたりするスゴイ代物だ。
当然、読者の興味はその味に集まるわけだが、どういうわけだか口にすることも無く素通りしてしまう。
読者の気持ちを完全に置き去りにした上に、写真すらないという始末だ。
このサービスに対する鈍感さはちょっと不気味。
とはいえ、ここに描かれる食料政策の無策ぶり(米の代わりにサツマイモを食えてラッキー!)は、まるで現在の北朝鮮の姿を見るかのよう。
かの国の今を知るためにも一読を勧めるしだい。

食からの反戦

太平洋戦争下の食生活が、戦前・戦中・戦後ずっと発行され続けた婦人
雑誌の料理記事を元に書かれていて、興味深く読みました。
はじめの「戦前のレシピ」にある昭和初期のモダンな料理と、終戦直前
直後の、とても料理とは呼べないものとの落差のすごさ。
戦争の戦闘以外の部分を、気負わず淡々と、でもくっきり見せてくれて
ます。

戦時下でなく戦下

戦闘している兵士だけでなく「銃後」の民間人の日常すべてが戦争そのものであるということを改めて考えた。戦争反対。実際のレシピも色々載っているので、興味のある人は料理の再現、試食も可能。お得です。

声を出さずにそっと読もう

テーマはともかく、方法論はいつもの斉藤氏どおりだ。
膨大な資料を集め、緻密に分析し、さらっと書く。
食という、身近なテーマから戦時下の生活がリアルに迫ってくる。
米からかぼちゃ、かぼちゃから雑草と移り変わる食生活。
斉藤氏は、恥ずかしがりやなのか、おおごえで「戦争反対」と叫んだりはしない。しかし、この着実な一冊は、おお声をあげる必要など無く、読者にそのメッセージは届く。
文壇アイドル論や、文章読本さん江のように売れ筋の本ではないかもしれないが、良心を感じさせる一冊だ。
この本を読んで、いっそう斉藤氏のファンになった。

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