グルメ・料理・レシピ関連本紹介します。
ジャン=ピエール・ダルデンヌ

息子のまなざし

息子のまなざし 人気ランキング : 45201位
定価 : ¥ 4,935
販売元 : ビデオメーカー
発売日 : 2004-05-28
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 4,935
オリヴィエを見つめながら

ダルデンヌ兄弟の映画に出続けているオリヴィエ・グルメがいよいよ本作品では主人公として登場します。少年院あがりの少年たちに木工技術を教える職業訓練校の教師が彼の役どころ。その教師の前に、かつて自分の息子を殺した少年が現れます。両親にも見捨てられている少年は、自分が殺した子供の父親であることに気づかず自らの里親になってくれと頼みます。

木工訓練を通じて心のわだかまりが薄らいでいき、はじめは少年の様子をおそるおそる眺めていた視線が徐々に変わっていきます。自分から誘ったドライブ・インで、一瞬おごりかに思えたスナック代を割り勘と給仕に伝えるシーンは、主人公の心のゆらぎを表しているようで非常に印象に残りました。

ラスト─今まで背後からこっそり観察していた少年を見つめる主人公の視線は、まるで困った我が子をしかる父親のような暖かい眼差しに変っています。表情に乏しい仏頂面のオリヴィエ・グルメだけに、かえってその雰囲気がリアルに伝わってきました。

内容は重いが・・・

この映画にはまず最初からエンドロールに至まで音楽がありません。しかもカメラワークの切り替わりが極端に少ない。それゆえに親方の微妙な心の揺れや戸惑いが痛いくらい伝わってきます。娯楽性はないといってもよい。この映画に答えは用意されていない。観た者がその答えを探さなければならない、そんな映画です。

まなざしの痛さ

息子を殺された職業訓練校の教師のもとに、その罪を犯した少年が生徒としてやってくる。少年はまさか教師が、自分が殺した者の父親だとはしらない。我々観衆は知っている。教師は少年のあらゆるしぐさを観察する。その視線は痛い。絶望的に痛い。それは理解しようとするまなざしではないからだ。そしてまた、これらを映像としてみている我々の視線も悲しく痛いものだろう。
これはカメラの視線、まなざしの暴力性を証明した作品である。描いたのではない。証明して「見る者」に突きつけるのだ。

深くなる眼差し

 作品を批評するとは、その作品の先を行って、折り返す行為だと思っているが、この作品の先へはなかなかゆけない。それだけ考えに考え抜かれている。

 極端に狭い視野と説明のないセリフ回しは、中年男がつけ回す少年との関係が明らかになるまで、見る者を不快な宙ぶらりん状態に置く。だが、「ことの次第」が分かってくると、私たちの眼差しは一気に深くなる。

 主人公の至近から離れないカメラワークは前作「ロゼッタ」と同じだ。 この息苦しいような距離感は、一人の人間をじっと見詰めるという行為をわれわれに強いて、いかにわれわれが世界を薄い情報、薄い視野で裁定し、やりすごしているか突きつける。
 役者の力量も大したものだ。

ものすごいリアルなんですが

正直、酔いそうでした。一つのカメラで切らずに追うので乗り物酔いする時みたいに揺ら揺ら。
ちょっと観る側に負担があるように思います。
ストーリーは地味ですが、ごく普通に暮らす人が事件に巻き込まれた感覚がよく出ています。
従来なら復讐劇とかその後の心の交流といった話にするのが面白いストーリーでしょうけれど、
そういうものが一切なく、浮かび上がるのは主人公がこの少年を執拗なほど気にする心理。
どうしていいのかわからないのにこの少年がとにかく気になる。
監視というのでもなく、常に視界のなかに入れておきたい。
ある意味この時期は主人公のほうがよほど危険人物なのですが、被害者側が犯人に殺意にちかい感情を
抱く期間を経過しなければ、犯人と被害者の和解など成立しないでしょう。
ムッとしたままの主人公、それを受け入れて近づいていく犯罪者。
親子に見えるほど年齢がちがい、保護者と被保護者の関係も重なってくる。
うまいテーマを扱った映画です。

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