グルメ・料理・レシピ関連本紹介します。
ジャン=ピエール・ダルデンヌ

ロゼッタ

ロゼッタ 人気ランキング : 41846位
定価 : ¥ 4,935
販売元 : ジェネオン エンタテインメント
発売日 : 2000-10-27
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 4,935
同情するなら職をくれ

この映画は途中からしか観てないという記憶がありましたが、再びTV放映を観てみると、しっかり初めから観ていることに気がつきました。序章からじわじわ盛り上がってクライマックスをむかえる普通の映画とは異なり、唐突に始まり唐突に終わる、厳しい現実生活の一部をそのまま切り取ったような作品です。

トレーラーハウスで暮らすロゼッタは、求職許可をもらえないため職を転々としている。アル中でセックス依存症の母親をかかえながら、古着を売って食いつないでいる毎日。その昔「同情するなら金をくれ」という名文句をはく安達由美のドラマがありましたが、この映画の主人公は貧乏なくせに他人の同情はもちろん、施しをも拒否する心を閉ざした少女だ。そのため、運良く職にありついたワッフル屋で自分に好意を寄せる青年に出会っても、心を開くことができない。

殺伐とした心象風景を想像させるロゼッタの背後を追う手ぶれしまくりのカメラが、彼女の貧乏生活の描写におそろしいほどのリアリティを与えています。そのため、観客はまるでドキュメンタリーを見ているかのようにストーリー(といっても物語らしい物語はありません)に引き込まれていきます。いまや巨匠の仲間入りをはたしたダルデンヌ兄弟がはじめてカンヌ・パルムドールを受賞した記念すべき秀作。

作業している時の心理

ドゥケンヌの映画の脚本は、台詞などまばらで作業のト書きばかりだろう。
ひたすら作業、行動の連続。ナレーションがないドキュメンタリーのようである。
カメラはロゼッタの後を追っていく。ロゼッタが話さないため、彼女が何をしようとしているか、
どこへ行こうとしていたのかは行動を観てわかる仕組みになっている。
これが非常に日常感覚に近い。
ロゼッタが可愛いと感じる場面、それは一瞬だがワッフルを売る時お客に見せる外向けの顔。
他は表情がかたい。その無表情の時何も考えていないかといえば逆で、彼女は次に何をしたらいいか
考えているし、耳から目から情報を取り入れている。
ドゥケンヌは仕事をする人を描くのが上手い。仕事というものが、おそらく半分以上は単純な下準備に
追われるものであることをよく知っていて、かつ愛情を持っている。
「くだらない仕事」なんて言葉はこの監督からは出ないだろう。
単純な作業でも教える場面が加えられていて、非常に共感できるものだ。
ロゼッタは失業中であるが、働くことが嫌だというタイプでは全くない。苦しい生活で仕事を
欲しがっている。しかし後半ちがう選択をする。
ロゼッタは母親に池に落とされる。母親は助けずロゼッタは一人で岸にあがる。
BFが池に落ちる。ロゼッタは一瞬迷ってから彼を助ける。
BFとの喧嘩の台詞「死んじゃえばよかったのに」は、ロゼッタが言ったが本当は母親の台詞だ。
自分のなかにある「母親の生き方」が露呈し始めたのだ。
涙と晴れた表情のラスト。ロゼッタはこの後キャンプから離れたのではないかと思える。
秀作です。

人間描写の巧妙さの光る奇跡的映画。

ダルデンヌの作品は「息子のまなざし」でもそうであるように、ひたすら主人公を追うという撮影手法をとっている。カメラを人物の極限まで物質的に近づけることで、主人公の感情を観客に担わせようとしている。最初はそれを観ていると、頭がくらくらして目が回りそうにもなりかねないが、慣れてくればさほどの嫌悪感を感じることはなくむしろ好きになってくるだろう。人物の感情に心理的にも近づくことができるのである。失業中の彼女が仕事探しの途に知る、何にも変えがたい愛。この感動はリアルに観客の「純粋」な魂を呼び起こさせる力がある。愛こそすべてだ、という人間の精神的概念を奇をてらわず、わざとらしくなく冷酷、穏健に描いているところがすばらしい。このような小作品がカンヌでパルムドールを獲得するところにカンヌ国際映画祭のうれしい正しさが証明されている。少女の知る愛を知れば、すべてを知ることになる。愛の賛歌をやわらかく歌い上げた愛すべき映画だ。

少女はこの後どうしたんだろう

全編手持ちカメラでNO MUSICという「ブレア・ウィッチ」と同一手法。
というより、ドキュメンタリーの手法だよね。
テーマもリアルで、みるには体力のいる映画で余韻も重い。
さて、らすとのあとはボーイフレンドとどうなったかなあ。
できれば、劇場で見たいよね。

甘くないチョコレート

国民の殆どがプチブルジョワな日本人(私自身も含めて)にとって、10代の少女が生きていくために無我夢中で職を求め、唯一自分を助けてくれようとした青年さえも裏切っていく姿は心に刺さるだろうか。もし、刺さったとしたなら、それは何故だろう?生活の境遇の違いは否めないけれど、このフィルムに、自分たちも経験したような少女時代特有の雨に濡れたような湿りの空気が流れているから?問題を抱えた母親、油断できない心でもって遠ざけているのに優しくしてくれる青年、それさえも裏切ってしまう自分、体の不調。そして何が何でも必要なのは職に就くこと。少女はフィルムの向こう側、黙々と「生きている」。トレーラーハウスに住みながら、日々、諦めとは呼べぬリズムで街に生きている。最後にこちらを見る少女の目を通して、初めて彼女、ロゼッタの心の鎧を外した姿を見せつけられるような気がして、胸をつかまれる。

『グルメ・料理・レシピ関連本紹介』はAmazon.co.jpのサービスによって実現されています。
Copyright 2005 グルメ・料理・レシピ関連本紹介 All rights reserved.