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ジェレミー・レニエ

ある子供

ある子供 人気ランキング : 29739位
定価 : ¥ 3,990
販売元 : ハピネット・ピクチャーズ
発売日 : 2006-06-23
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 3,990

20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。
子どもが子どもを生んで、親になる。少女は母性に目覚め、かいがいしく面倒をみることでひとつ大人への階段を上るが、男は少年のまま、社会とかかわることもなく、その日暮らしで満足している。そんな主人公の人生の転機をドキュメンタリーのように淡々と追っていくのが本作。主人公が愛する人を失い、焦り、取り戻そうと必死に行動する姿をカメラはジッと映し出す。過剰な演出、説明的セリフはは一切ない。それゆえに、彼の変化、成長が心に染み渡るように伝わってくる。1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドール大賞受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督は、2005年、本作で2度目のパルムドール大賞を受賞した。(斎藤 香)

侘しい、寂しい、物悲しい、でもこれが人間の映画

ドラマチックではなく、むしろ社会につま弾きにされるような、貧乏男の侘しい物語です。
頭が悪く、勇気がなく、真面目に働くこともできず、盗みしかすることがないような冴えないブリュノ。
それでもソニアとの愛情は慎ましく育ててきたブリュノ。
金がなく、親になる覚悟もなく、魔がさしたように子を売ってしまうブリュノの姿が、
本当なら「ゆるせない」と感じるところなのに、哀れに感じられてきます。
描き方が本当にしみじみとして切ない。
フランス映画独特の哀愁ある映像感がどうしようもない男ブリュノの、
ソニアへの愛情、ソニアへの裏切り、別れ、転落、そして・・・という物語を、
“愛すべき悲哀”とでもいうように、1カット1カットにいたるまで全て繊細に、沈静に、寂しく盛り立てていました。
観終わってすごい物悲しさが残るんですが、「いい映画を観たなぁ」としみじみ思える映画です。

昇華された映画の頂点のひとつ

修飾されない映画の高度な言葉を用い、ひとりの成長をドキュメンタリーのように紡いだ秀作。
作品に注がれた眼差しの柔らかさ、温かさが、この作品の魅力のひとつではないでしょうか。

時代が、私達が、無視して生きてきた対象(世界中にあふれている現実かもしれません)である
一人の男性を、等身大に描いています。
子供がそのまま大きくなっただけの、ブリュノは成長を止めたかのようですが、それは彼が観客たる私達ほどに恵まれていなかったから。
少なくとも、根っからの悪人でないことは明らかです。
華美な演出になれた眼には素朴に映りますが、なんて映像が素晴らしいことでしょう!
ブリュノの存在のヴィヴィッドなこと!
そして、この映画を描ききったダルデンヌ兄弟の眼差しの純粋さ・・・。感動はゆっくり、しかし心の奥深くに宿ることでしょう。

彼はどうやって、父親になれるのでしょう。
学も技も友人もほとんど持たない彼は、どうやって家庭を守っていけるでしょう。
・・・観るものは、それを考える機会を自分に与えられるのです。

「観るべき」といえる作品のひとつだと思います。

まったく期待はずれ

パルムドール大賞受賞作だというから期待して観たのに。これはただの自堕落な若者のありがちなエピソード。子供の売り買いはこの若者がより大きな罪を犯すのを早めただけに過ぎず,この若者の生活や人生や思想においてそれは大した意味を持たない。あえて言うなら,ひとりの女性が正気に戻るきっかけになったと一瞬思ったが,それもラストで台無しになった。「物語の半分は若者が女性の愛を取り戻す話だ,同時に,若者が父親として子供を受け入れるかどうかだ」と監督はインタビューで語っているが,それならもっとまともな人びとをモチーフにすれば良いではないか。なぜこんな自堕落な犯罪者に愛の大切さを代弁させようとするのか理解できないので,このふたりの若者には感情移入も同情もできない。この映画が絶賛されることでこういった若者の考え方や行動に同調し,不幸せの原因を社会に転嫁しようとする意見が生まれるとしたらまったく不愉快な作品だ。ちなみに私はこの監督の他の作品は観ていない。

大切なもの

ある子供とは主人公のことですね。彼女の優しさ、大切さにようやく気付いた彼が最後に流した涙がとても綺麗。余計な音楽や映像がないから逆にリアルに感じました。大切なものは失ってから気付くって本当ですね・・

ブリュノが引きずる罪の重さは?

「ロゼッタ」に続いて2回目のパルムドール受賞したダルデンヌブラザースの作品。相変わらずベルギーの貧困層を描いているのだが、前3作に比べるとフィルムのゴツゴツ感が無くなっていて全体として洗練された感じがした。

また、彼らの作る映画には必ずテーマと結びついた象徴的なシーンが現れる。主人公のブリュノが自分の子供を人身売買した後、空の乳母車を押すシーン。そして警察に捕らえられた仲間を救うべく壊れたスクーターを警察まで引きずるシーン。キリストが自ら磔になる十字架をゴルゴダの丘に引きずり運んだように、ブリュノの罪深さを象徴するものとして、<乳母車とスクーター>を登場させていたような気がする。

ラスト、妻のソニアと手をとりあって流す涙の理由は、今まで犯してきた罪への悔恨か、それとも絶縁状態にあった妻の許しを得たことへの喜びなのか?いずれにしても、子供=ブリュノが少しだけ大人に近づいた証であることはまちがいなさそうだ。




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