グルメ・料理・レシピ関連本紹介

小津ファンなら誰もが一度は読んでみたくなる本です。
小津安二郎がこよなく愛した東京のグルメを小津のエピソードとともに写真付きで描かれている。
また小津の作品と照らし合わせて思い起こすグルメ話は、作品を見たことがある人なら懐かしいしとっても楽しくなれます。
今度は違った観点から、またその作品を見直してみたくなります。
この本を読んで、小津の作品は、その独特の撮影方法やアングル、道具立てや小物の繊細さなどが注目されているが・・・
小津は食べ物ひとつとってみても、手を抜いたりしていなかったことが分かります。
小津の作品はあくまでも小津のこだわりを感じる絶対的な小津ワールドだと思いました。

本書は善意をこめて小津安二郎とその作品を見つめている。しかし、
小津作品の食事シーンはよく見ると、カメラが食卓と同じ高さに
ある。従って食事の中身はよく見えないのである。お茶漬け、トン
カツ、ラーメンすべて登場人物は「うまいうまい」と食うのだが、
正直こんなシーンから食欲などそそられない。
昭和３０年代後半、日本映画が衰退したが、その一因は小津作品の
ようなものが跋扈したこともある。生誕百年とはいえ小津作品を
安易に過大評価したくない。